Tue.

われ母として


容赦なき夫
(つま)の言葉と思ひつつ黙してゐたり子に憚(はばか)りて


幾日かもの云はぬ夫に平静をよそほひてゐるわれ母として


母が三十代半ばの時の作品です。
母は早くに結婚し、この句を詠んだ時、嫁いで既に17年が過ぎています。
父は高校の教師でした。母より一回り年上で、誠実ですが非常に厳格な性格だった父は、
腹を立てると何日も口を聞かなくなる人でした。その父も他界し、4年が経ちます。

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Sun.

真実の言葉言ひたしと


禁煙の車内にありて煙草吸ふ人に言ひ得ず席を立ちたり


人の言葉信じたき故自らは真実の言葉言ひたしと思ふ


ここに掲載する句は、毎回本のページを最初からめくりながら選びます。
できるだけ古いものから順に、とか、今の季節や時期に合うものを、と
考えながら選ぶようにしているのですが、なかなかそれが難しいことも多くあります。
こんなに毎日毎日母の本を開くのは、本を作って以来初めてのことです。
じきに、本のどこにどの句があるか、すっかり頭に入ってしまうかもしれません(笑)。

今日は、季節にも時期にも関係の無い歌を二つ選びました。
共に平成に入ってからの作品で、母が56歳、59歳の時の作品です。

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Thu.

わが誕生日四月十日は


野は一面残雪ありて風寒しわが誕生日四月十日は


忘れられしわが誕生日夫
(つま)も子も健やかなるを謝して寝につく


母さん、ごめん!誕生日いつも忘れて!

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Mon.

娘が買ひくれし


疲れまづ目に覚えあり知らぬ間にわが身に老ひは始まるらしも


節立ちて荒れし手なれど湯上りに娘
(こ)が買ひくれし指輪はめてみる


母が54歳の頃の作品です。

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