Tue.

座りゐる様いぶかりて


病む姑
(はは)を看りつつ思ふ職も技も持たざるわれの老ひし日のこと


わが姑の癒ゆる日あらば奇跡とぞにべもなく医師はわれに告げたり


家隅に癒ゆる当てなく臥す姑はわれの脳裡を消ゆることなし




座りゐる様いぶかりて吾がかけし手に意識なき舅
(ちち)は倒れ来


もの問へばうなづくのみの病む舅に真白き髭はいたく伸びたり




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Thu.

わびしさの極まりにけり


わびしさの極まりにけり
     舅姑
(ちちはは)の襁褓(むつき=おむつ)縫ひつつ雨にこもれば


病もて口きけぬ舅に何ごとか問ひかくる姑の低き声する


病む舅の皺伸ばしつつ白き髭剃りゐてふいに涙こぼれき


指先にガラスの曇りぬぐひつつ臥す舅姑に初雪を告ぐ



死期迫る老がしきりに空に出す意識なき手を握りてやりぬ


常臥しの姑に心を残しつつ舅逝きたまふ春待たずして



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Tue.

相容れぬ思ひもちゐき


相容れぬ性いだきつつ舅姑
(ちちはは)と諍(いさか)ひもなし嫁して十年


諍ふといふにあらねど相容れぬ思ひもちゐき姑
(はは)ありし日は


一句目は、母が32歳の時の作品です。
この時既に、母が嫁いで14年ほど経っています。
何年も寝たきりだった祖母が亡くなったのは、母が36歳の時でした。
二句目は、一句目の12年後、母が44歳の時の作品です。

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