Sun.

いと小さき口元に


みどり児は生まれて五十一日かき抱き宮参りする村の鎮守に


いと小さき口元に乳を欲る仕種みせて児は泣く四肢ふんばりて


兄夫婦のところも無事に赤ちゃんが生まれました。


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Mon.

夕づく窓にその母を待つ


左右の手結び遊ぶと便りにて生まれて四月
(よつき)の児の様伝え来


私は時々母に手紙で子供の様子を知らせていました。



眠る子は腕に重たしゆすり上げ夕づく窓にその母を待つ


幼児
(おさなご)の忘れ行きたるオルゴール手に取りし時一節(ひとふし)鳴りぬ


この歌は、義姉の子を歌ったものです。
義姉は1年間の産休の後仕事を再開しました。
当時兄夫婦は実家の近くに住んでいたので、
日中は母が赤ちゃんを預かっていました。


母が56歳の時の作品です。


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Tue.

にいがた文芸百首の記念に

今日掲載の歌は、母が58歳の時の作品で、短歌作りを詠んだものです。



字余りても言葉丁寧に詠むべしと窪田先生文字添へ賜ふ


わが歌に幾度も文字を添へ賜ふ窪田先生ありがたきかな




日数
(ひかず)経て読めばおとなしすぎるかな大星先生採られぬわが歌

新聞に自信作を投稿し掲載されなかった時のことかもしれません。



名のみ知る「にいがた文芸」の諸兄姉に学びてゆかむこの後も又


新しきノート一冊求め来ぬ「にいがた文芸」百首の記念に



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Thu.

人見知り覚えし孫は


人見知り覚えし孫は祖母われをまじまじと見て暫
(しばら)く馴(な)れず


子供が1才になる頃だったと思います。子供をつれて実家に行ったときのことです。
人一倍人見知りの強い子だったので、
家族といえど離れ住んでいる両親に馴れるまで、時間がかかりました。


乳飲み児は湿りて重き紙襁褓
(おむつ)と乳のにほひを残し帰りぬ


この孫の記憶に如何に残るやとわが言動を思ふことあり



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Sun.

会ふ度に


会ふ度に児
(こ)の面差(おもざ)しは新しく花見て今日は高き声上ぐ


会ふ度に児の面差しは新しく今日は初めてうまうまと言ふ


会ふ度に児の面差しは新しくパチパチと云へば手を打ち応ふ



頭の五七五が同じ句が続きました。母が56歳の頃の作品です。
兄夫婦の赤ちゃんを詠ったものです。


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Tue.

若き日は嫌ひてをりし


(もぢ)れつつ花咲きのぼる捩摺(もぢずり)の茎直に立つ畦草の中


若き日は嫌ひてをりし畑仕事楽しと思ふ五十路
(いそじ)となりて


若き日は嫌ひてをりし農なれど地に育つもの今われをなぐさむ


一句目は母が47歳の頃の作品です。
続く二句は、50代に入ってからの作品です。
地に育つものになぐさめられるというのは、私も同感です。

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Fri.

終日を雨降りつげば


終日を雨降りつげば貝細工
(かひざいく)花閉じしまま夕べとなりぬ


言葉交はすでもなく夫
(つま)と家ごもりそれぞれ過ごす梅雨の一日を



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Fri.

梅雨晴れに母逝き給ふ


梅雨晴れに母逝き給ふみどり児のやうなほほえみ子らに残して


母方の祖母は、脳梗塞で倒れ数日後に亡くなったそうです。
母が45歳の時のことでした。


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Sun.

車酔ひ耐へて来りし花巻の


車酔ひ耐へて来りし花巻のバラ園は花の盛りなりけり


遊覧の船近づけば島山の岩を掴
(つか)める松の根も見ゆ


遊覧の船の上にゐてひとときを母亡きことの悲しみ忘る


留守居する夫
(つま)がひとりの食事など思ひて眠る旅の湯宿に


母方の祖母が亡くなり少しした頃のことだったと思います。
母がいつも短歌を書き留めていたノートには、
「民協の東北旅行」に行ったとのメモがあります。
一句目ですが、母は本当に乗り物に弱い人でした。
母45歳の時の作品です。

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21:17 | 旅行 | comments (0) | trackbacks (0) | edit | page top↑
Wed.

妹が医学学びし


弁慶が立往生すといふあたり指さす見れば青田なりけり


車窓より眼
(まなこ)こらしぬ妹が医学学びし町と思へば


一陣の風が伴ふ白波の移りゆく見ゆ猪苗代湖畔


旅行する機会など滅多に無かった母でした。
「民協の東北旅行」で、岩手県、福島県を通って新潟県に戻ったのですね。
母45歳の時の作品です。

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05:37 | 旅行 | comments (0) | trackbacks (0) | edit | page top↑
Fri.

明日は咲く


梅雨明けの近き兆しにもぢずりの花咲きはじむ小田の道辺に


明日は咲く南瓜の花に笠かけて梅雨まだ続く畑より帰る


母が47歳の時の作品です。
二句目、母らしい歌で私はとても気に入っています。

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Sat.

蕗むきて指染めしまま


蕗むきて指染めしまま逝きましし母まがなしも初夏めぐるたび


救急車呼ばざりきことにいつまでもこだはりてをり母逝きし後



母方の祖母は、脳梗塞で倒れ右片麻痺で失語になったそうです。
数日後昏睡状態になり、最後は静かに息を引きとったと叔母から聞きました。
祖母が生前、自分に何かあったら診てもらいたいと言っていた
馴染みの医師に見守られての自宅での最期だったそうですが、
まわりの家族達は、救急車を呼んでいたなら違っていたのではないか、
延命処置をしてもらっていたなら・・・とこだわる気持ちが、
いつまでも消えなかったのでしょう。

この作品は、祖母が亡くなって5年後の作品で、母は50歳でした。
第一句は、私が名句と思う句のひとつです。

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Sun.

雨受けて花傾ける芍薬に


雨多き五月は過ぎぬ咲きつぎて実は結ばざり南瓜
(かぼちゃ)の花は


雨受けて花傾ける芍薬
(しゃくやく)に傘立つるなりわれも濡れつつ



二句目、母らしい歌だと思います。私の好きな作品です。

これは平成九年の作品で、母は59歳でした。
亡くなる3、4ヶ月ほど前の作品だったのだなあと
今しみじみ思ったりしております。

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22:04 | 花、野菜 | comments (0) | trackbacks (0) | edit | page top↑
Thu.

ただ一日


街路樹の七竈
(ななかまど)は花の盛りにて若葉に映ゆるその色清(すが)


自転車を止めて見上ぐる七竈若葉に映ゆる花のさやけさ


ななかまどの花

七竈の写真は「花の写真300」さんから、お借りしました。





唯一日
(ただひとひ)花の盛りを見せし後散り急ぐなり花櫚一本(かりんひともと)

かりん

花櫚の写真は福娘さんのサイトからお借りしました。




母が59歳のときの作品です。
花を愛した母は、花を詠んだ歌も沢山遺しています。

私自身は、花のことは詳しくないので、
どの花がどの時期に咲くのかわからないことが多く、
花を歌った句を掲載する時には、今の季節に外れていないだろうかと
インターネットで調べたりします。
調べて花の写真を見たりすると、ああこれは知っている花だと思うこともあります。
花の姿を知っていても、名前を知らないことが、私は多くあります。
花櫚の花は4〜5月に、七竈の花は6〜7月に咲くのですね。

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Fri.

梅雨寒の


雨の日の工事現場に散る火花しばしば見えて雨にけぶれる


梅雨寒の夜を早寝せし夫
(つま)の背に布団かけやり明りを消しぬ



母56歳の時の作品です。


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Fri.

離れ住む


離れ住む孫らの写真におはようと声かけわれの一日はじまる


前歯二本漸
(やうや)く生えし九ヵ月児は赤ちゃんせんべい音立てて食ぶ



母56歳の時の作品です。


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Sun.

テーブルの縁を伝ひて


十ヶ月の児
(こ)がいつの間に覚えしか車の窓にバイバイをする


すっぽりとベビーシートに抱かれて児も一人前に車内に座る


テーブルの縁を伝ひて歩む児が時に振り向き我にほほえむ



母56歳の時の作品です。


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Mon.

ねむの花


ねむの花盛りとなりぬ絹糸を束ねしやうと人の歌ひし


ねむの花
花の写真はこちらからお借りしました。


母56歳の時の作品です。


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